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材料の構造をナノメータのオーダで制御することにより、従来の材料に比べて特性を大きく向上させたり、今まで知られていない新しい機能を有する材料の開発、いわゆる「ナノマテリアル」の開発が世界的規模で進められている。このようなナノマテリアルの開発は、ナノテクノロジー技術の基礎となるもので、21世紀の基盤技術として大きな発展が期待されている。ナノマテリアルの創製プロセスはこれまでにもいくつか考案されているが、本研究室では従来のコンセプトとは大きく異なる独創性のきわめて高い手法の開発を行っている。また、このようなナノマテリアルの材料創製のためには、ナノマテリアルの評価技術が重要である。これまでは、創製技術と評価技術は個別に開発されてきているが、創製技術と評価技術の融合が材料開発を迅速に進めるために、きわめて重要となる。
本研究室では、このようなナノ構造制御材料の開発と評価を有機的に融合させることにより、世界に先駆ける研究を進めている。以下にその具体的な研究テーマを記す。なお、本研究室は高島研究室と一体運営されており、そちらの研究テーマも併せて参照願いたい。
方位制御型高機能ナノ結晶材料の開発
ナノテクノロジーの大きな目標の一つに、強磁性体ナノ結晶を非磁性体の中に析出、成長させることにより超高密度の記録素子を作る試みが精力的に行われている。この場合、ナノ結晶の方位を揃えることが、高密度化や書き込み、読み取りのS/N比を向上させる上で不可欠となる。しかしながら、これまでの手法では、ナノ結晶を析出させることは可能であるが、その方位を配向させることまではできない。本研究室では、材料組成の制御に加えて、ある特定の応力を材料に負荷させることにより、2nmの強磁性体ナノ結晶をアモルファス中に高密度かつ自己組織的に析出させることに成功した。図1にその透過電子顕微鏡写真を示す。本技術は、高S/N比のテラビット級超高密度大容量磁気記憶媒体への応用が期待できる画期的な成果として注目を集めている。
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| 図1 Ni-Pアモルファス合金中に方位配向析出させたナノ結晶。一つの結晶のサイズは約2nmである。 |
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ナノ構造制御による高性能MEMS材料の開発とその評価
MEMS(微小電子機械システム)は、基板上に生成させた薄膜に対して、微細表面加工を行い、一つの基板上に電子回路と微小可動部品を作製し、一つの微小デバイスとしたものである。このようなMEMSデバイスは、光スイッチを始めとする光情報関連分野や、マイクロカテーテルなどのバイオ・医療技術を支えるものとして、今後大きな発展が期待されている。ところで、このようなMEMSデバイスを構成する部品のサイズは、薄膜の厚さを基準とする寸法、すなわちミクロンオーダーになる。したがって、信頼性、耐久性に優れるMEMSデバイスを作製するためには、ミクロンサイズの材料に対する材料強化法の確立が必要となる。通常サイズの材料では、これまで結晶粒の微細化、析出物の分散等によって材料の強化が行われてきた。しかしながら、ミクロンサイズの構造体に対しては、このような材料強化法は使えず、今までの材料強化法とはまったく異なるナノメーターサイズを基本とする新たな材料強化法の開発が強く望まれる。そこで、本研究室では、微細構造物の局所領域にイオン注入を行う選択的な材料強化法の開発や、超音波を利用したショットピーニングと熱処理を組み合わせることにより、材料表面層のみをナノ結晶化させた表面ナノ構造制御材料の開発を行っている。
ところで、このようにして作製したマイクロ材料について、機械的性質の評価が重要となる。本研究室では、ミクロンサイズの材料に対して、強度、靭性、疲労特性等の機械的性質の計測が可能な材料試験機を世界に先駆けて開発し、この装置を用いて微小寸法材料の評価を行っている。図2に開発した試験機の写真を示す。この評価試験装置は、現在のところ世界に1台しかなく、世界各国から国際共同研究の申し込みが相次いでいる。また、このような微小材料の機械的特性評価の国際標準化を目指した国際共同研究も実施している。
| 図2 オーストラリアのCSIROと共同で開発したナノ/マイクロ材料評価試験機 |
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